ナッツからコエンザイムQ10を摂取する
コエンザイムQ10はいろいろな食品に含まれています。肉類や魚介類に比較的多く含まれていますが、ナッツ類も供給源のひとつです。ナッツはコエンザイムQ10以外にも多くの栄養素を含む食品です。日々の食生活に是非ナッツを取り入れましょう。
コエンザイムQ10の働き
コエンザイムQ10は脂溶性で、ビタミンによく似た働きをする物質です。肉や魚のほか、量的には少ないですが野菜や果物、豆類、乳製品にも含まれています。
コエンザイムQ10はエネルギーを作り出すのに関与している物質です。不足するとエネルギー量が減り、疲れやすく免疫力が落ち、体が衰えます。
コエンザイムQ10は抗酸化作用の機能もあり、老化を防止し、生活習慣病などの予防にも働きかけます。
ナッツ類に含まれるコエンザイムQ10の量
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ナッツ類100gあたりに含まれるコエンザイムQ10の量は以下のとおりです。
・ピーナッツ 2.67mg
・ピスタッチオ 2.00mg
・ヘーゼルナッツ 1.67mg
・アーモンド 1.38mg
・生の胡桃 1.90mg
・生栗 0.63mg
ピーナッツ、ピスタッチオ、ヘーゼルナッツ、アーモンドはすべてローストしたものです。
出典:
・Kamei et al., "The distribution and content of ubiquinone in foods," Internat. J. Vit. Nutr. Res. 56 (1986) 57-63.
・Mattila, et al., "Coenzymes Q9 and Q10: contents in foods and dietary intake," Journal of Food Composition and Analysis 14 (2001) 409-417.このようにナッツ類には量は少ないとはいえ、コエンザイムQ10が含まれています。
ピーナッツは厳密には豆類に含まれます。しかし脂質含有量が高く、一般的にナッツ類として扱われています。
ナッツ類の特徴と働き
ナッツ類は不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。ナッツに含まれる不飽和脂肪酸はLDL(悪玉)コレステロールを減らす働きがあり、心臓病のリスクを軽減する可能性があることが指摘されています。
不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸があります。一価不飽和脂肪酸はオレイン酸、多価不飽和脂肪酸はn-3系とn-6系があります。n-3系はα-リノレン酸やDHA、EPAなどがあり、n-6系はリノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸があります。
ナッツは適度な満腹感を得られる食品なので、食事の前に少量食べることにより食べ過ぎを防ぐことができます。どの種類のナッツも似たような栄養素を含みますが、 特徴の違いが多少あります。以下にそれぞれの特徴と働きを簡単に説明します。
- ・ピーナッツ
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ピーナッツは疲労回復効果のあるビタミンB1とナイアシン、抗酸化作用のあるビタミンE、動脈硬化を予防するオレイン酸、リノール酸などを含みます。ピーナッツバターとして食されることも多い食品です。
- ・ピスタッチオ
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ピスタッチオはナッツの中でも特にビタミンEを多く含み、抗酸化作用があります。またオレイン酸、リノール酸を多く含むことから動脈硬化や生活習慣病の予防効果が期待できます。ピスタッチオにはカリウムが多く含まれており、高血圧、むくみの改善にも作用します。
- ・ヘーゼルナッツ
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ヘーゼルナッツにはオレイン酸、ビタミンEが多く含まれ、抗酸化作用があります。アーモンド、カシューナッツと並び、世界三大ナッツのひとつです。国内では主にお菓子の材料などに使用されます。
- ・アーモンド
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アーモンドはビタミンE、ビタミンB2、食物繊維、オレイン酸、リノール酸を多く含みます。脂質の代謝促進、整腸作用、皮膚粘膜の保護、そして強い抗酸化作用があります。
- ・胡桃
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胡桃にはオレイン酸とα-リノレン酸が多く含まれています。血栓ができるのを防ぎ、高血圧や糖尿病などを予防する働きがあります。食物繊維も多く、整腸作用があります。ほかのナッツに比べると量は少なめですがビタミンEも含み、抗酸化作用があります。ナッツ類の中ではビタミンB2を多く含み、エネルギーの代謝に関わります。
- ・栗
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栗にはビタミンB1が多く、疲労回復効果があります。ビタミンCが豊富で、抗酸化作用があります。カリウムも多く含み、高血圧の予防やむくみの解消に効果があります。渋皮にはタンニンが多く含まれ、強い抗酸化作用があります。
ナッツからコエンザイムQ10を摂取するメリット
ナッツからコエンザイムQ10を摂取するメリットはいくつかあります。まず、コエンザイムQ10は脂溶性の成分なので、ナッツに含まれる脂質を一緒に摂取することで吸収率を高めることができます。コエンザイムQ10は吸収率が低いという欠点があるのですが、ナッツから摂取することによって、その欠点を補うことができるわけです。
効率的なエネルギー産生と疲労回復
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コエンザイムQ10は酵素の働きを助け、エネルギーの効率的な産生に関わります。ナッツ類はビタミンB1やビタミンB2を含む種類が多く、コエンザイムQ10と同じようにエネルギーの代謝に関わり、疲労回復に作用します。
抗酸化作用を強める
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コエンザイムQ10は抗酸化作用の機能があります。ナッツ類も抗酸化作用のあるビタミンEや生活習慣病などを予防する不飽和脂肪酸を豊富に含んでいます。
このようにコエンザイムQ10とナッツには相乗効果があり、エネルギーをより効率的に作り出すことに関わると同時に、抗酸化作用により生活習慣病などを予防する働きが一層強まります。
ナッツからコエンザイムQ10を摂る時の注意とは
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ナッツは栄養価の高い食品ですが、カロリーも高めです。つい食べ過ぎるとカロリーオーバーになってしまいます。ナッツの適量とは1日に片手の手のひらに乗る程度といわれています。食べ過ぎないように注意しましょう。
いろいろな食品から補給できるコエンザイムQ10
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ナッツから摂取できるコエンザイムQ10は少量です。しかしコエンザイムQ10はナッツ以外にもいろいろな食品に含まれているので、バランスの取れた食事を心がけると、食品から少しずつコエンザイムQ10を補給できます。
偏食しがちな人やインスタント食品を多く食べる人、疲れやすい人などはサプリメントからの摂取を考えてみてもよいでしょう。