包接体コエンザイムQ10とは
コエンザイムQ10は多くのメディアなどで取り上げられているせいもあり、酸化型と還元型が広く知られていますが、実はそれ以外の型もあります。そのひとつに包接体コエンザイムQ10という型があります。包接体コエンザイムQ10はどういった特徴を備えているのでしょうか。ここでは包接体コエンザイムQ10についてご紹介します。
コエンザイムQ10とは
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コエンザイムQ10はビタミンに似た物質で、以前はビタミンQとも呼ばれていました。人の体内で合成することができ、人体の臓器や血液中など、あらゆる部分に存在しています。コエンザイムQ10は日本語に訳すと補酵素です。補酵素とは、単独では有効に働くことができない酵素を助け、エネルギーを作り出し、細胞を活性化するという大切な働きをする物質です。また抗酸化作用があり、余分な活性酸素を除去し、細胞の酸化を防ぐ働きもあります。
コエンザイムQ10には複数の型が存在しますが、酸化型と還元型に大きく分けられます。体内に存在するコエンザイムQ10のほとんどが還元型で、食品に含まれるコエンザイムQ10は酸化型、還元型の両方があります。酸化型のコエンザイムQ10は小腸で吸収される過程で還元型に変換されます。
コエンザイムQ10は人の生命活動を行ううえで不可欠な物質ですが、吸収率が悪く、摂取したうちの60%は吸収されずに体外に排泄されるという報告もあります。コエンザイムQ10は加齢に伴い体内で合成される量が減少します。
.酸化型をシクロデキストリンで包んだ包接体コエンザイムQ10
コエンザイムQ10は脂溶性の物質で、水には溶けず吸収しにくいというデメリットがあります。このデメリットを改善したのが包接体コエンザイムQ10です。包接体とは、酸化型のコエンザイムQ10をシクロデキストリンという物質で包んだものです。
シクロデキストリンはでんぷんから作られるオリゴ糖の輪
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シクロデキストリンのシクロ(cyclo)は環状、デキストリンはオリゴ糖のことで、環状オリゴ糖とも呼ばれます。シクロデキストリンは、ブドウ糖が鎖のように繋がってできたオリゴ糖が輪の状態になったものです。シクロデキストリンは、じゃがいもやトウモロコシのでんぷんから作られた天然由来の物質です。
シクロデキストリンはブドウ糖の繋がっている数により、それぞれ違った特徴を持ちます。ブドウ糖が6個繋がったものをα型、7個繋がったものをβ型、8個繋がったものをγ型と呼びます。
α型はダイエット用のサプリメント、β型は靴の消臭インソール、γ型はDHA、EPAのサプリメントやコエンザイムQ10のサプリメントなどに利用されています。
γ-シクロデキストリンは大きさが0.9~1.0nmのごく小さいものです。シクロデキストリンの内側は親油性、外側は親水性です。
持続した効果が望める包接体コエンザイムQ10
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包接体コエンザイムQ10は、脂質の集まりであるコエンザイムQ10が分子サイズに小さくばらばらにされ、シクロデキストリン内部にうまく収まっています。外側は親水性なので水に溶けやすくできています。この構造により、摂取すると難なく腸まで届き、ゆっくりと腸管から吸収されます。包接体のコエンザイムQ10の分子は非常に小さいため、従来のコエンザイムQ10に比べ、高い吸収率を持ちます。
包接体コエンザイムQ10はシクロデキストリンに包まれているため、光や熱、酸素に対しての安定性が高いというメリットもあります。またビタミン類や抗酸化物質を同時配合した場合でも、配合による変化が少なく、安定した状態を保つことができます。安全性も確認されており、安心して摂取することができます。
包接体コエンザイムQ10は酸化型のため、腸管で吸収される過程で還元型に変換されます。この過程が加わるため、還元型と同じような効率のよいコエンザイムQ10の利用は望めません。とはいえ、シクロデキストリンの内部に取り込まれていたコエンザイムQ10はゆっくりと放出され吸収されるため、持続した効果が望めます。
自分に合ったコエンザイムQ10を選ぶ
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コエンザイムQ10は酸化型、還元型、そして今回ご紹介した包接体があります。
還元型は体内に存在するコエンザイムQ10と同じ型で、効率のよい働きが見込めますが価格が高めです。酸化型は効果に対する効率は還元型より劣りますが、比較的安価で購入できます。包接体コエンザイムQ10は酸化型をシクロデキストリンで包み、吸収性を高めています。包接体コエンザイムQ10は通常、還元型よりも安く購入できます。
コエンザイムQ10は、ある程度継続して摂取することが望ましい健康食品ですので、それぞれの特徴と価格を比較し、無理なく続けられるタイプを選ぶとよいでしょう。
まとめ
包接体コエンザイムQ10は、吸収率が悪いといわれるコエンザイムQ10のデメリットを改善したタイプです。
包接体コエンザイムQ10は酸化型のコエンザイムQ10をシクロデキストリンという物質で包んだものです。シクロデキストリンは環状オリゴ糖とも呼ばれます。
シクロデキストリンの内側は親油性、外側は親水性です。コエンザイムQ10の非常に小さな分子が内側に収まり、外側は水に溶けやすく、吸収率が高いという特徴があります。また光や熱、酸素に対しての安定性が高いというメリットもあり、配合変化も少ないとされています。
シクロデキストリンに包まれているコエンザイムQ10は酸化型なので、腸管で吸収される際、還元型に変換されます。この過程が加わるため、還元型に比べると効果を得る効率面で幾分劣ります。