コエンザイムQ10と血液関連の薬の飲み合わせ
コエンザイムQ10は安全性が高く、安心して摂取できる成分です。とはいえ、飲み合わせに注意が必要な薬がいくつかあります。ここではワーファリン、血圧降下薬、高コレステロール治療薬との飲み合わせについて説明します。
ワーファリン
ワーファリンはワルファリンとも呼ばれる抗凝血薬です。心筋梗塞や脳血栓症、静脈塞栓症など、血管に異常があり、血液が固まりやすくなる場合に処方されます。血栓の予防にも使用されます。
血液は出血した場合に、血を固まらせて止血するように働きますが、その際にビタミンKが使われます。ビタミンKは脂溶性のビタミンで、納豆、チーズ、緑黄色野菜、海藻などに含まれています。ビタミンKは血液を凝固する作用から止血のビタミンと呼ばれています。ワーファリンはビタミンKの働きを抑え、血液が固まらないようにする薬です。
ワーファリンを服用している人がコエンザイムQ10を摂取すると、ワーファリンの抗凝血効果が弱まる可能性があることがわかっています。コエンザイムQ10がワーファリンの効果を弱めてしまうわけです。したがって、このふたつの飲み合わせはよくありません。
血圧降下薬
血圧降下薬は高血圧で血圧を下げる必要のある時に処方されます。コエンザイムQ10は人体中の細胞に存在し、ミトコンドリア内でエネルギーの産生に関わります。コエンザイムQ10が豊富にあると心臓の働きが活発になり血行を促進するため、高血圧の改善にも役立ちます。
血圧降下薬を服用中にコエンザイムQ10を摂取すると、血圧を下げる効果が増強され、血圧に影響を与える可能性があります。ただし、どの程度の量のコエンザイムQ10を摂取すると血圧に影響を与えるのかについては現在のところ、明確にされていません。血圧降下薬を服用中のコエンザイムQ10の摂取については医師と相談することをおすすめします。
高コレステロール治療薬
コエンザイムQ10は体内で合成される物質です。コエンザイムQ10が合成される過程は、コレステロールが合成される過程と共通しています。
LDLコレステロール値が高いと、スタチン系の高コレステロール治療薬を処方されることが多いです。スタチン系製剤は、体内でコレステロールが作られるのを減らす作用がありますが、同時に、コエンザイムQ10の体内合成量も減らしてしまうのです。スタチン系製剤を服用中の人の筋肉や血液に存在するコエンザイムQ10の濃度が減少するというデータも報告されています。
スタチン系製剤の副作用として、筋障害、筋肉痛、疲労、倦怠、情緒不安定などがありますが、これらがコエンザイムQ10の不足に関係しているのかについては、まだ明確にされていません。スタチン系製剤の服用と、筋障害の発症のメカニズムについても、現時点では解明されていません。
スタチン系製剤服用中に、コエンザイムQ10の体内量がどの程度まで減少するとコエンザイムQ10の欠乏症になるのかについては十分なデータが存在せず、今後の研究報告が待たれます。
スタチン系製剤を服用中にコエンザイムQ10を同時に補給する効果を示唆する研究報告もあります。しかし同時に摂取することのメリットの証明には更なる研究が必要とされています。
スタチン系製剤はそれぞれ独自の名前がついており、リバロ、リビトール、クレストール、メバロチン、リボバス、ローコールがあります。
スタチン系製剤を服用中に、予防的にコエンザイムQ10の摂取をすすめる医師もいます。スタチンに限らず、処方薬を服用中のコエンザイムQ10の摂取は、自己判断ではなく医師の指示に従いましょう。